大多摩ハムは1932年に東京で開業しました。ドイツ式の伝統製法をハムづくりの基本としながら、良質な国産の原料肉を使い続けることで、安心とおいしさの信頼を得てきました。
大正10年、ドイツ人マイスター、アーグスト・ローマイヤー氏が日本で初めてハム製造を本格的に開始した、日本におけるドイツ式ハム元年とも言われるこの年、ローマイヤー氏に認められ、師と仰いで弟子入りしたのが、大多摩ハムの創業者、小林榮次でした。その後1932年に独立、創業以来大多摩ハムは伝統の製法を活かしながら、ハム、ベーコン、ソーセージなどを造り続けています。
原料肉は熟練した職人たちの手によって、ひとつひとつ包丁で整形加工されます。また、大多摩ハムの原材料はすべて国産原料肉を使用しています。日本で生産されているハム、ベーコン、ソーセージの原料のうち、国産肉が使われている比率はわずか15%しかなく、一般的には輸入肉が使われているなか、大多摩ハムが国産肉にこだわる理由は、鮮度が確認できることと同時に、もしも問題が起きた時、すぐに日本の国の主権において調査できる利点があるからです。
日本では肉のブロックに、牛乳、卵、植物から作った異種たんぱくを添加する製法があります。しかしドイツではハム、ベーコンなど、ひとつの肉の塊で作る単味品に、肉以外のたんぱくを加えることは許されていません。大多摩ハムでもロースハムやベーコンなどのドイツ式単味品に異種たんぱくを加えていません。そのためコストが高くても、肉本来の美味しさが味わえるのです。化学の力に頼らず、自然の力を利用すること、これが伝統製法の基本です。
1972年、消費者の方々の強い願いを受けて当時では常識外とされていた無添加のハム、ソーセージ、ベーコンを「消費者シリーズ」として販売開始。国産豚肉使用・8大アレルギー不使用な点が評価され、これまで300校以上の学校給食にも使われてきました。2023年9月に「無塩せきシリーズ ナトゥア」にリブランドを実施しました。
1983年、3代目社長 小林和人がドイツに1年あまり留学。ケルン市、食肉組合長である、カール・ハインツ・フロイツハイム氏に師事しました。ローマイヤー氏から教わった大多摩ハムの製法はいまなおドイツに息づいていることを確認、さらに新たなソーセージの製法を伝授され日本に持ち帰りました。1985年、1986年には、世界食肉コンテストにおいて金メダルを受賞し、大多摩ハムの技術が世界の最高水準にあることが認められました。
1998年5月、TOKYO Xハム、ベーコン、ウインナーをはじめて販売開始しました。TOKYO-Xは東京都が開発した豚肉で、繊維質が細かく、脂肪の口溶けがよく、霜降りが多いという3つの長所を持った、おいしい銘柄豚です。大多摩ハムはこのTOKYO-Xを用いたロースハムやウインナーをいち早く開発し、それらは2003年、東京都から、味、品質ともに優れ、東京都が自信をもってお薦めできるものとして、地域特産品に認証されました。さらに、東京うこっけいハムも2010年に、東京都地域特産品となりました。東京都が公式に特産品に認証したハムをつくるメーカーは、全国で大多摩ハム1社であるため、大多摩ハムは経済産業省より2017年に表彰された際、「オンリーワンハムメーカー」と称されました。さらに2019年、農林水産大臣賞を代表の小林和人がマイスター部門で受賞しました(第40回食品産業優良企業表彰)。
日本にいながら、ドイツと同じおいしさのものをご提供すること。国産原料肉を使って、安心して召し上がっていただける製品をつくること。お客様にご満足いただける新たな分野に積極的に挑戦し続けること。大多摩ハムはこれが使命と考え、これからも歩んでまいります。
ここでは、三代目社長がドイツで修行した際の恩師である、ケルンの食肉マイスター、カールハインツ・フロイツハイム氏が、「ドイツ製法のハムとはなにか」について、日本で講演した際の記録映像をご紹介します。
ドイツ製法のハムづくりの特徴は、添加物を最小限に抑え、原料に異種たんぱくや水をまぜることで、ハムやベーコンの増量をいっさいしないこと。この基本がまずあったうえで、おいしいドイツ式のハムやベーコン、ウインナーが生まれるのです。